行政書士を目指したきっかけ|高卒・未経験から試験に申し込むまで

行政書士試験

高卒、法律の知識ゼロ、特別なスキルなし。

将来への漠然とした不安だけを抱えて非正規で働いていた私が、行政書士としての体験を語れているのは、ある「ささいなきっかけ」があったからです。

それは、立派な志があったわけでも、誰かに強く勧められたわけでもありません。

偶然見たドラマでその存在を知り、「これなら自分にも挑戦できるかもしれない」と感じた、本当に小さな始まりでした。

この記事を読めば、法律とは無縁だった私が行政書士の資格を知り、数々の不安を乗り越えて試験に申し込むまでの具体的なプロセスが分かります。

もしあなたが学歴や経歴を理由に挑戦をためらっているなら、きっとこの記事が「自分もやってみよう」と思えるきっかけになるはずです。

高卒・未経験から行政書士を目指した理由

まずは、私が行政書士という資格にたどり着いた、3つの理由からお話しします。

  • 不安定な働き方に将来の不安を感じた
  • ドラマがきっかけで行政書士を知った
  • 受験資格のハードルの低さに驚いた

それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。

不安定な働き方に将来の不安を感じた

私が資格取得を考え始めた理由の一つ目は、非正規雇用の不安定な働き方からくる将来への不安でした。

高卒で特別なスキルもなかった私は、収入の不安定な働き方を続けていました。

同年代の友人が正社員として着実にキャリアを築く姿を見るたびに、「このままではいけない」と焦燥感に駆られ始めたのです。

漠然とした不安を解消するには、会社や組織に依存するのではなく、自分自身の力で価値を提供できる「何か」が必要だと考えました。

それが、私にとっては「国家資格」の選択肢でした。

国家資格であれば、学歴や職歴に関係なく、専門知識を持つ証明になります。

自分の努力次第で専門性を身につけ、安定したキャリアを築けるのではないか。
そう考えたのが、具体的な資格を探し始めるきっかけにつながりました。

ドラマがきっかけで行政書士を知った

資格を取ろうと決意したものの、具体的な目標はありませんでした。

そんな時、偶然目にしたドラマがありました。
それが「カバチタレ」です。

印象に残ったのが、深津絵里さん演じる行政書士補助者の姿でした。

法律知識を武器に、人々の身近なトラブル解決に奔走する彼女を見て、それまで抱いていた「法律=堅苦しくて難しい」のイメージが覆されました。

ドラマの中では、遺言書の作成や内容証明郵便といった、私たちの生活に深く関わる業務が描かれていました。

「法律家は、もっと遠い存在だと思っていたけれど、こんなに暮らしのそばにいる仕事なんだ」と、行政書士に興味を持ったのがきっかけです。

ドラマとの出会いがなければ、私が行政書士を目指すことはなかったでしょう。

受験資格のハードルの低さに驚いた

ドラマをきっかけに行政書士に興味を持った私が次に驚いたのは、受験資格のハードルの低さでした。

法律系の国家資格と聞くと、法学部卒であったり、実務経験が求められたりするイメージがありましたが、行政書士は全く違いました。

「努力次第で、自分にもチャンスがあるんだ」と、初めて具体的な目標として行政書士試験を意識しました。

具体的な行政書士の受験資格の特徴をまとめると、以下のとおりです。

  • 学歴・職歴は一切不問
  • 年齢制限がない
  • 合格基準が明確

もちろん、誰でも受験できるからといって、簡単に合格できるわけではありません。

合格率が例年10%前後であることからも、相応の学習が必要な難関試験であることは事実です。

それでも、「挑戦する権利」が誰にでも平等に与えられている点は、私にとって大きな魅力でした。

行政書士の仕事を調べて感じた身近さ

受験資格に学歴などの制限がなく、一気に現実的な目標となった行政書士。

しかし、ドラマで見たイメージだけでは、実際にどんな仕事をするのか詳しくはわかりません。

そこで私は、行政書士の具体的な業務内容について、徹底的に調べることにしました。
調べていくうちに明らかになったのは、行政書士が「街の法律家」と呼ばれる所以です。

弁護士や司法書士といった他の法律系資格と比べても、その仕事は驚くほど私たちの生活に密着していました。

ここでは、「この仕事ならやってみたい」と思った行政書士の業務内容を一つずつ解説していきます。

法律系資格の中では現実味があった

法律系の資格をいくつか調べる中で、行政書士は私にとって最も「現実味のある」選択肢だと感じられました。

弁護士や司法書士といった資格は、どこか雲の上の存在のように感じていました。

しかし行政書士は、資格取得への道のりと、その後の働き方の両面で、具体的な目標として捉えられたからです。

私が特に「これなら自分にも目指せるかもしれない」と感じた、現実味のあるポイントは以下の2点です。

ハードルが具体的だった・受験資格に学歴などの制限がなく、スタートラインが平等である点
・法律初学者からでも1年程度の学習で合格を目指すことが可能
独立開業がイメージしやすかった・高額な設備投資をせずに開業できる点
・在庫を抱えるリスクなく始められる点

「特別な学歴や資金がない私でも、自分の努力次第で専門家として独立できる」
行政書士には、そんな未来を具体的に想像させるだけの現実味がありました。

仕事内容が自分の強みに合っていた

行政書士の業務内容を調べていく中で、私は「この仕事は自分の性格に合っているかもしれない」と強く感じるようになりました。

行政書士の根幹業務が、私の昔からの「探求癖」と一致していたからです。

少し変わっているかもしれませんが、私は子供の頃から未確認飛行物体や都市伝説が好きで、真偽を確かめるために情報を集め、客観的な事実を探し出すことに夢中になるタイプでした。

「曖昧な情報の中から、根拠となる事実を粘り強く探し出す」プロセスは、行政書士の仕事と驚くほど似ています。

例えば、許認可申請を行う際には、膨大な法令や手引きを読み解き「申請が許可されるための要件は何か」「それを証明するための書類は何か」を正確に突き止めなくてはなりません。

行政書士の業務範囲は広く、成功するためには自分の強みを活かした専門分野を持たなければなりません。

私にとって、この「事実を調査し、証明する」作業はまさに強みそのものでした。

依頼者の状況を丁寧にヒアリングし、役所の担当者と折衝を重ね、必要な書類を一つずつ揃えていく。

それはまるで、複雑な謎を解き明かすような面白さがあるのではないか、そう感じたとき、行政書士が、私にとっての天職に思えたのです。

他の士業との違いを比較して納得した

行政書士の輪郭をより明確にするため、私は他の法律系士業との違いを比較・整理してみました。

この作業を通じて、私は行政書士ならではの役割と立ち位置に深く納得することができました。

特に魅力を感じたのは、行政書士が「紛争を未然に防ぐ」予防法務の専門家である点です。

トラブルが起きてから解決するのではなく、そもそもトラブルが起きないように、手続きや書類作成の面からサポートする、「街の法律家」としてのスタンスが、自分のやりたいことと合致していると感じました。

具体的に、私が比較した主な士業との役割の違いは以下のとおりです。

資格名主な役割行政書士にはできない独占業務の例
行政書士予防法務の専門家
(街の法律家)
他士業の独占業務以外を幅広く扱う
弁護士紛争解決の専門家裁判での代理、示談交渉など
司法書士登記の専門家不動産登記や会社設立登記の申請
社会保険労務士人事・労務の専門家労働・社会保険に関する手続き

上記のように比較表を考え、それぞれの仕事を自分に置き換えて考えてみました。

弁護士のように人の人生を左右する「紛争」の場に立つのは、あまりにも責任が重すぎると感じました。

司法書士の「登記」は専門的で、正直なところ具体的な仕事のイメージが湧きません。

社会保険労務士が扱う給与計算や保険料といった細かい数字の管理は、計算が苦手な自分には向いていないと思いました。

その点、行政書士の仕事は、許認可申請や契約書作成など多岐にわたりますが、本質は「事実を調査し、正確な書類作成」です。

これは、自分の「探求癖」の強みを直接活かせる分野でした。

消去法的な選択だったかもしれませんが、この比較を通じて「行政書士こそが、今の自分にとって最も挑戦しがいのある現実的な道だ」と、腹の底から納得できました。

行政書士試験に申し込んだ理由

行政書士の仕事内容を調べ、自分にも可能性があるかもしれないと感じ始めました。

しかし、心のどこかでは、まだ大きなブレーキがかかって申し込む勇気はありませんでした。

「高卒で、法律の勉強なんてしたこともないのに」
「正社員として働いた経験すらない自分が、専門家になれるのだろうか」

そんなネガティブな考えが、頭の中をぐるぐると巡っていましたが、それでも最終的に私が試験への申し込みを決意できたのは、あるシンプルな考えに至ったからです。

ここでは、そんな私の背中を押した3つの理由と、申し込みに至るまでの心の変化についてお話しします。

やらない後悔より、やってみる挑戦を選んだ

最終的に私が試験への申し込みを決意できたのは、「やらない後悔だけはしたくない」というシンプルな想いからでした。

もちろん、決断までには葛藤がありました。

「高卒の自分には無理だ」「正社員経験もないのに専門家なんて」と、行動しないための理由ばかりが頭に浮かびます。

実はこれ、脳の仕組みが大きく関係しています。
具体的な仕組みは、以下のとおりです。

脳は現状維持を好むいつもと違う行動を「危険」と判断し、変化を避けようとする
「やらない言い訳」は防衛本能行動しないように、脳が自動的かつ最速で言い訳を探し出す
やる気は待っていても来ないまず小さく動くことで、脳の「側坐核」が刺激され、やる気のスイッチが入る

当時の私は、まさにこの脳の防衛本能に支配され、動かない自分を正当化する名人になっていました。

しかし、ある時ふと自問したのです。

「このまま何もせず、数年後に『あの時やっておけばよかった』と嘆いている自分の姿を想像できるか?」と。

その未来は、あまりにも簡単にはっきりと想像できてしまい、その未来だけは絶対に嫌だ、と強く思いました。

挑戦への恐怖を和らげたくて、無意識に『挑戦 失敗 名言』などのキーワードをスマホで検索していました。

そんな時、偶然目にしたのが、アインシュタインの名言です。

「失敗したことのない人は、新しいことに挑戦したことがない人だ」

この一文が、私の心を軽くしてくれました。

挑戦すれば、失敗するかもしれません。
しかし、挑戦しなければ失敗すらできない。

何もしないことこそが、最大の停滞なのだと気づかされました。

最初は独学前提で無理なく始めた

挑戦すると決めたものの、次にぶつかったのは「どうやって勉強するか」が問題でした。

行政書士の学習方法を調べてみると、以下のとおりです。

学習方法費用の目安メリットデメリット
独学数千円~費用が最も安いモチベーション維持が困難
通信講座5~10万円程度効率的に学習できる独学より費用がかかる
通学スクール20万円~サポートが手厚い費用が最も高い

当時の私は非正規雇用で金銭的な余裕が全くなく、それぞれの費用を比較した結果、選択肢は実質的に「独学」しかありませんでした。

しかし、これは私にとってむしろ好都合でした。

もし最初に高額なスクール代を払ってしまっていたら、「元を取らなければ」などのプレッシャーに押しつぶされていたかもしれません。

その点、独学は数千円のテキストを1冊買うことから始められます。

「まずはこの1冊をやり切ってみよう。もし合わなければ、その時にやめればいい」
そんな気軽さが、学習を始める精神的なハードルを下げてくれました。

いきなり完璧を目指すのではなく、まずは自分にできる範囲で無理なく始めることから始めました。

試験申込を機に意識が変わった

独学を始めてから数ヶ月、私の意識を決定的に変えたのは、行政書士試験への正式な申し込みでした。

私が行政書士を目指そうと決意し、最初のテキストを購入したのが4月のことでした。

しかし、正直に言うと、最初のうちはどこか「お試し」感覚があったのかもしれません。

「気が向いたときに勉強する」だけで、学習はなかなか本格的な軌道に乗りませんでした。

その状況が大きく変わったのが、7月下旬からの試験申し込みです。
参考までに、試験の申し込み概要は以下のとおりです。

申込期間例年7月下旬~8月下旬頃
申込方法インターネットまたは郵送
受験手数料10,400円(別途手数料がかかる場合あり)

私はインターネットで申し込み手続きを済ませ、受験手数料である10,400円を支払いました。

この手続きを完了させた瞬間、それまでの「ふわふわした気持ち」が消え、背筋が伸びるのを感じました。

「もう後戻りはできない。本気でやらなければ」と覚悟が芽生えました。

10,400円の金額は、当時の私にとって決して安いものではありませんでした。

身銭を切った事実が、「お試し」だった挑戦を「本気の目標」へと昇華させてくれたのでしょう。

もし、あなたも勉強を始めたものの、まだ本気になれていないと感じるなら、まずは試験に申し込んでしまうことをオススメします。

退路を断つことで、見える景色がきっと変わるはずです。

最初から完璧じゃなくていい!独学でも、迷いながらでもOK

ここまで、私が行政書士を目指したきっかけから、試験に申し込むまでの道のりをお話ししてきました。

最後に、もしあなたが過去の私と同じように一歩を踏み出せずにいるなら、心から伝えたいことがあります。

まず、資格を目指すきっかけは、どんなにささいなことでも構いません。

私が「将来への不安」と「たまたま見たドラマ」から始まったように、立派な理由である必要は全くありません。

「なんとなく」から始まった挑戦が、人生を変えることもあります。

勉強を始めても、最初から完璧な計画なんて立てられなくて当然です。
特に独学であれば、手探りで進むしかありません。

「この勉強法で本当に合っているのだろうか」「自分には向いていないのかも」と、不安になる瞬間は必ずやってきます。

でも、それでかまいません。

迷いや悩みなどを少しずつ修正しながら進んでいくのが普通です。

大切なのは、完璧を目指すことではなく、立ち止まっても諦めずに続けることです。

今振り返ると、挑戦すると決めたあの時の自分を褒めてあげたいと心から思います。

不安だったけれど、「やってみてよかった」。
これだけは断言できます。

少しでも迷う気持ちがあるなら思い切って挑戦してみてください。

数年後、「あの時、勇気を出して本当によかった」と思えるはずです、私のように。

まとめ

この記事では、高卒・未経験だった私が、将来への不安と偶然見たドラマをきっかけに行政書士を目指し、試験に申し込むまでの道のりをお話ししました。

特別な才能も立派な動機もありませんでしたが、「やらない後悔だけはしたくない」という想いが私を動かしてくれました。

もし今、あなたも学歴や経歴を理由に一歩を踏み出せずにいるなら、思い出してください。

最初から完璧な計画は必要ありません。
大切なのは、まず行動してみることです。

その小さな一歩が、「あの時、勇気を出してよかった」と思わせてくれるはずです。

この記事が、あなたの挑戦のきっかけになることを心から願っています。

コメント